「オ、オウくんっ、まって、みんながっ…」
「透子」
「っ」
宝石みたいに輝いていた瞳は、私を映して、まるで獣のように光っている。暗闇の中でも分かるくらい、いつも退屈そうにしている瞳が、ギラギラしている。それを見てぞくりとした。
こんな、オウくん、見たことない。唇がじんじんする。首筋の噛み跡が、痛い。
痛い、けど、好き、この人が。
「透子、口、開けて」
「え…」
まだ、するの?不安げに揺れる瞳。目尻にオウくんが唇を落とす。音を立てて離れるので、耳がくすぐったい。
耳の近くにキスをされて身をよじったせいか、そのまま執拗に耳を噛まれた。舌で中をかき回されて、軟骨を甘噛みされる。変な声が漏れるから、咄嗟に両手で口を覆った。
だけどすぐにその手を払われる。
「口、開けてって言ったでしょ」
「オウ、くん…」
「言っとくけど、透子のせいだから…」
無理矢理顎を掴んで口を開かされる。逃げるように舌を奥に引っ込めると、オウくんはバカにしたように鼻で笑って、口を塞ぎ、いともかんたんに舌を捕えた。
溶けてしまうかと思った。
地面に落ちた線香花火のように、じわじわと、公園の砂に、蕩けるようだった。