にべないオウジ



「とこの顔見たら、素直に話せないの分かってるから」


この気持ち、なんだろう。

ずっとオウくんのことは好きだったけど、それだけじゃない。その時の気持ちとは、ちょっと違う。


夏休みに入って髪を少し切ったみたいだ。まるで高校生の時みたい。あの日、オウくんの前で私が泣いた日、初めて彼の柔らかい髪を触った。

その髪が私の横で揺れている。触れたい。オウくんが私のものになればいいのに。ねえ、この気持ちって………


パンッ

打ち上げ花火が上がって、オウくんが顔を上げた。綺麗な横顔。花火に照らされて、瞳の中が宝石みたいに輝いている。

その横顔を眺め、しゃがみ込んだまま身を乗り出して、打ち上げ花火を見上げている彼の唇に、そっと唇を落とした。


ぽかんと、珍しく間抜けに口を開けたオウくんと、目が合う。


「あの、ほんとはね、遊馬くんの家で鍋した時、起きたら目の前にオウくんがいてね、寝てるオウくんに、キ、キス、しちゃったの。こんなふうに。それから恥ずかしくて顔が見れなかったの。キモいよね、寝込み襲われるなんて、気持ち悪いよね。ごめんなさい」

「……」

「とか言いながらまたしちゃってるんだけど、…だって私もう、オウくんのこと下心なしではっ、」


見れないの。と最後までは言わせてもらえなかった。