にべないオウジ



19時。遊馬くんから送られてきたマップ通りに、迷いながら、かなり迷いながら、やっとのことで公園に辿り着いた。

キリちゃんは来られないと言ったからちょっと不安だったけど、まぁオウくんと遊馬くんなら大丈夫か、と思っていたのに。


「あれ、桜司の金魚の糞ちゃんじゃん!」


その他、私の知らない人が何人か来てるなんて、聞いてない…。


「透子ちゃん!ごめんね?桜司と二人のつもりだったんだけど、SNSに上げたらこいつらも来たいって言い出してさぁ。嫌だった?」


嫌、というか、私一人完全に浮いているというか、周りの空気に圧倒されるというか。

遊馬くんが申し訳なさそうに手を合わせるので、眉を下げて「大丈夫」と答える。

女の子と男の子数人。きっとオウくんの友達だ。仲良くできたらいいなぁと思うけど、私はオウくんの友達と仲良くできたことがない。遊馬くんが初めてだ。


早く花火やろうよー!と明るい女の子の一声で、ロウソクに火が灯った。

昼間はあんなに暑かったのに、夜は少しだけひんやりする。お姉ちゃんにレース生地のノースリーブを借りたけど、羽織りも持ってこればよかったかな。


そういえば、オウくんはどこに居るんだろう。きょろきょろと辺りを見渡す。だけどどこにも居なくて、ちょっと落ち込む。

オウくんが居ないんじゃ、意味ないよー。

項垂れる私に、その場にいた女の子が花火を一本渡してくれた。