「桜司から誘われたの?」
「オウくんの、友達からだけど」
「へえ、友達も一緒なんだ。珍しいね。透子が男と遊ぶって」
男と遊ぶって…言い方悪くない?
私がいくら押しても中々出ようとしないので、諦めて部屋着を脱いでいく。お姉ちゃんだし、別に見られても恥ずかしくない。
「ねー、透子ってさぁ。処女?」
「……はぁ?」
「すっべすべだねー。肌。私も負けてないと思うけど年齢の問題かな?羨ましいわぁ」
「ひゃっ、ちょ、変なとこ触らないでよっ」
脇腹をするりと撫でられて、全身に鳥肌が立った。嫌がって身をよじる私を見て姉がケラケラ笑う。性格悪い。キッと睨みつける。
「桜司にも見せてあげたらー?」
「なんで見せるの!!」
やっと出て行ってくれる気になったのか、背中を強く押していると、姉は笑いながら洗面所から一歩足を出した。
その背中を見つめる。学年も五つ上で、被っているのなんて小学生の一年間だけ。それなのに「桜司」「依子さん」と呼び合う二人。
「ねえ、お姉ちゃんとオウくんって…」
「え?なに?」
「……ううん、なんでもない」
別に、深い意味なんてないよね。

