にべないオウジ



やばい。服決めて、化粧して、髪の毛もまとめなきゃ!

部屋着、すっぴん、寝起きのままのボサボサの髪で過ごしていた自分が悔やまれる。もっとちゃんとしておくんだった!


部屋を飛び出して洗面所に向かう。シャワーもしなきゃ。汗臭かったら嫌だもん。


「なにー?透子、どっか行くの?珍しいね」


お姉ちゃんがリビングからひょっこり顔を覗いてきた。今日両親は二人で夜遅くまで出かけているから、一旦家に帰ってきたらしい。

姉はほとんど彼氏や友達の家に転がり込んでいて、あまり家に帰ってこない。母は半分諦めてるけど、いつもそのことに対して私が愚痴を聞かされる。

この自由奔放な姉に、私は小さい頃から振り回されてきた。


「うん。ママたちが帰ってくるまでには戻るから!」

「ははーん。デートか?」

「……そんなんじゃないよ」

「シャワーまで浴びるってことは、桜司だな」

「だからどうして分かるの!?」

「透子は嘘がつけないタイプだからね」


ブラトップのキャミソールに、パンツが見えそうなくらい短い短パン。吸引タイプのアイスをちゅーっと吸いながら、姉はにやりと笑った。

私をからかうために洗面所に入って来ようとするので、ぐいぐい押し退ける。