本格的に蝉が鳴き始めて、ギラギラ輝く太陽はアスファルトを照りつけ、暑いのが苦手な私は毎日へとへと。
素麺と、山芋と、冷たいおうどんと、オクラと、納豆しか食べていないと思う。
あ、それとアイス。アイスは食べ過ぎだって母に怒られたけど、食べないとやってられない。
夏休みに入って、サークルも部活も入っていない私は大学に行く機会がなくなった。毎日家でぼうっとテレビを見るか、キリちゃんと遊ぶか、久々に高校の友達と会うか、ママの手伝いをするか。
小学生の夏休みと何も変わらない生活を送っている私は、今日も暇だなぁと思いながらクーラーの効いた部屋で宙を眺めていた。
すると、スマホが嬉しそうに鳴る。普段は講義もあるからずっとマナーにしていたけど、夏休みが始まってからはマナーを解除しておいた。
誰かから連絡が来たら、すぐに気付けるように。
画面を確認すると、遊馬くんだ。遊馬くんから電話。なんだろうと思って、通話開始ボタンを押す。
「遊馬くん?どうしたの?」
『あっ、良かった出たー。ね、今日花火するんだけど来るよね?』
「え、花火?」
『そー。19時に公園集合だから、後でマップ送るねー』
また私の予定も返事も聞く気がない彼は、そのまま強引に電話を切ろうとする。だけど「あっ」と声を出して、電話越しにガサガサと物音が聞こえた。

