だけど、俺が透子を好きになればなるほど、透子以外見えなくなればなるほど、俺が透子に向ける気持ちと、透子が俺に向ける気持ちは、違うことに気が付く。
俺は、透子の瞳の中に俺"だけ"が居ればいいと思うし、他の人間は誰であっても映りこまないようにどこかの部屋に閉じ込めたいし、毎日触りたいし、愛したいし、手足を縛って俺が居なきゃ生きれなくなればいいと思う。
だけど透子は違う。あいつは俺にそんな欲望はないし、むしろ嫉妬したり、彼女になりたいと思ったりしない。そんな未来有り得ないとすら思っている。ただ、見ているだけでいい。それだけ。
俺と透子の思いは、あまりに違いすぎた。
あいつは俺に惚れていて、俺と同じような気持ちを抱いていると思ったのに、全然違った。あいつは真っ直ぐで、俺なんかより全然、綺麗だった。
俺は自惚れて、勘違いして、元から素直な性格ではないのに、ますますこじれることになる。
「桜司、絶好調に機嫌悪いねー」
唇の端に絆創膏を貼り、左頬は赤青い打撲痕がある。遊馬はにやにやと笑いながら俺の隣に腰掛けた。
結局、透子は俺の目の前で大人しく昼食を食べていたけど、一瞬も目を合わさなくて、かと思ったらぼうっとこちらを見る。
意味が分からなくて椅子をガンッと蹴ると、また怯えたようにご飯をかきこんだ。
昼食後の必修科目をサボり、喫煙所で煙草を吹く。普段吸わないけど、イライラして死にそうになった時に、一本だけ吸う。

