「オウくんの悲しみ、全部ちょうだい」
今すぐ、その震える体を強引に引っ張って、腕の中に閉じ込めて、息もできないくらい抱きしめて、しがみつきたかった。
両親に認められたい。
褒められたい。
笑いかけてほしい。
テストで良い点取るよりも、徒競走で一位を取るよりも、頑張るから。
両親の誇りになれるように、頑張るから。
弓が好き。
弓を引いた瞬間、何も聞こえなくなって、的以外何も見えなくなる、あの時間が好き。
嫌なことがあっても弓を引いていれば忘れられる。
部員なんてどうでもいい。
だけど団体戦では、ほんのちょっとあいつらのために的を当てて、そうするとすごく喜んでくれるから、悪い気はしなかった。
物心着いた時から弓に触れていて、その頃からこいつは俺のその姿を見ていた。ただ、ずっと、見ていた。
いつしかそれが当たり前になって、気付かないうちに、俺のお守りみたいになっていた。
「……とこ」
切なさに、顔を歪める。透子は、一歩、一歩、俺に近付いて、そっと頭を撫でる。
たまらなかった。たまらなく、この女が好きだと思った。

