今日は「喧嘩両成敗」と書いたセンスの悪いTシャツだ。
両成敗じゃねぇんだよ~~。お前は特に悪くないけどこっちゃ完全にキレちゃってんだよ〜。
男は長居することもなく、笑って透子ちゃんに手を振ってその場から離れた。ほっとする。こいつもほっとしてくれたらいいのに、眉間のシワは深く刻まれたままだ。
「あっ、桜司だぁ。一緒にご飯食べよ?」
桜司は人が多い場所に行くとすぐ人に囲まれて、集団の中心になる。
それは女だけじゃなくて、男も桜司に群がる。多分桜司のミステリアスでカリスマ性が高い部分を評価しているのだと思う。
「……ああ、」
その時、透子ちゃんもこちらの存在に気が付いたのか「オウくん!」といつものように陽だまりのような笑顔を見せて名前を呼んだ。
桜司は透子ちゃんに名前を呼ばれる度、少し泣きそうな顔をする。
あの子は気付いてないんだろうな。
透子ちゃんが桜司を見つける前に、絶対桜司の方が早く透子ちゃんを見つけてるってこと。
食堂のBランチを頼んで、スタスタと桜司が向かう先は、透子ちゃんの目の前の席だ。
ドンッとお盆を置いて偉そうに彼女の前に座る。その光景を後ろから眺めている。

