なんだよ。なんだってんだよ。この前からあからさまに避けやがって、目も合わせようとしない。俺が現れたらいそいそと離れようとするし、ずっと俯いてるし、気まずそうに顔を歪めやがる。

舌打ちすると、透子はいつもビクッと肩を震わせる。益々目が合わなくなって、余計イライラする。


「あ、じゃあ、俺はこの辺で失礼しまーす」


陰キャ男を殺す気持ちで睨み付けると、身の危険を感じたのかすぐに席を立った。

すると透子も慌てて立ち上がって「私も行く」なんて言い出す。その様子を、あたかも無表情で、何も考えていないような顔で見下ろす。


もうお茶を用意してキリが来たらすぐお弁当を食べれるように準備していたのに、透子はそれを急いで片付けだした。


はあ?何片付けてんの。何俺から逃げようとしてんの?今までウザいくらいつきまとってきたくせに。高校も、大学も、俺と一緒がいいってめちゃくちゃ勉強して、見た目も、ダイエットして化粧を覚えて、全部俺の言う通りにしてたくせに。

もう両手足を縛って俺しか見れないようにしてやろうか。俺はこの世界に、俺とお前、たった二人居ればそれでいい。

他には何も要らないんだよ。


透子の腕を掴んで、無理矢理片付けられないようにさせる。緊張の糸が張り詰めた瞳で、俺を見た。


「何に怯えてんのか知らないけど、ちゃんと俺の目の前でご飯食べて、しっかりその怯えた面見せろよ」


行動を、悔い改める。そんなこと出来るものなら、とっくの昔からしているのだ。