にべないオウジ



遊馬くんの瞳が、切なく揺れた。


「……怖かったけど、遊馬くんが死んじゃうんじゃないかって、それが一番怖かったよ」


唇の端に絆創膏を貼って、赤く腫れている頬に湿布を貼る。うわぁ、すごい重症の人みたい。痛そう。痛いだろうな…。


「顔に傷、残っちゃうかな」

「……一生、傷が消えなきゃいいのに」

「え?」

「そしたら一生、こうやって透子ちゃんが心配そうな顔してくれるのに」

「……何それ。変なの」


ふふっと笑うと、遊馬くんも笑った。笑ってくれたからホッとして、私は今初めて、心の底からホッとした。さっきまではまだ緊張感が残っていたから。


あんな、人が目の前で殴られるところなんて、もう二度と見たくないな。

もしもあれがオウくんで、オウくんが誰かに殴られていたら、私はどうするだろう。考えて、想像すると辛くなったので止めた。


「あ、そうだ遊馬くん。そんな交換条件みたいにしなくても、夜ご飯くらい言ってくれたら普通に一緒に食べるよ。だけど前もって言ってね。ママに怒られるの。あと今度はキリちゃんとかとも一緒に…」


話している途中で、顔を傾けた遊馬くんが私の顔に近付く。慌てて唇の前に手のひらを挟むと、そこに遊馬くんがキスをした。

びっくりして、時が一瞬、止まった。