だけどホッとしている暇なんてない。
近くのコンビニで消毒液と絆創膏を買って、傍にあった公園のベンチに遊馬くんと一緒に移動し、傷の手当てをする。
血が出ている唇の端を消毒液で拭うと、「いてっ」と体を揺らして顔を歪めた。
「あの人たち、何なの…!?頭おかしいよ。友達?」
「友達ってか、顔見知り?クラブで知り合った奴ら。……いてっ、痛い、透子ちゃん」
「クラブで知り合った人は平気で人を殴るの?そんなの、おかしい…」
公園の街灯でしか遊馬くんの姿が見えなくて、薄暗い中、消毒液が滲みて痛そうにする彼の顔が見える。
「……ごめんね。私、何も出来なくて。痛いよね」
「平気だよ。こっちこそごめん。なんか巻き込んじゃって。別にこういうのよくあることだし、消毒もそんな丁寧にしなくて……痛っ」
ああいうことがよくある世界で生きている遊馬くんは、一体何者なのだろう。
私が生きている世界とは違いすぎて、なのにこうやって遊馬くんとは普通に話せていることが不思議で、変な気持ち。
「怖かったよね」
消毒が終わって、絆創膏を貼ろうとした時。
彼の手が伸びて、私の頬に触れる。私はどこも怪我していないのに、まるで消毒するみたいに、柔く、親指が撫でる。

