にべないオウジ



せ、性欲って。私はそんなつもりでオウくんを見てたわけじゃ。

あからさまに顔が赤くなるのが面白いのか、遊馬くんはケラケラ声を上げた。ムカついたので、傍にあるタッチパネルでカルビとハラミを注文してやろうと思う。

だけど操作方法が分からなくて、苦戦している私に、同じように遊馬くんが画面に覗き込んできた。


「ったく、おばあちゃんかよー。何が食べたいの?」

「え」


顔がすごく近くて、思わず息を止めてしまう。だけどこの人はそんなこと気にもしてなくて、タッチパネルを操作したままこちらを見ない。

カ、カルビとハラミ。と答えると、「意外と肉食べるんだね」と言いながら慣れたようにパネルを操作して注文完了ボタンを押した。


「あ、たまごスープあるよ?」

「…あ、食べたい」

「ふ、たまごスープって透子ちゃんぽいわ」


もう一度注文画面を開き直して、たまごスープも追加してくれた。


「透子ちゃん。あんま見つめてると、今度は俺がちゅーしちゃうよ」

「えっ」


顔をタッチパネルに向けたまま、視線だけがこちらを向く。慌てて距離を取ると、遊馬くんは「冗談だよ」と可笑しそうに笑った。

からかわれてる。それが悔しくて、私はお肉をもりもり食べてしまった。