にべないオウジ



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あの日、遊馬くんの家に泊まることになってしまったあの日、目が覚めたオウくんは10分くらいぼうっとして、朝一番に発した言葉は不機嫌爆発の「フルグラねぇの」。

彼は毎朝ヨーグルトにフルグラをかけて食べているようだ。あと青汁。そんなもの遊馬くんの家あるわけがなくて、ひどく機嫌を損ねていた。

私は何年もオウくんを見てきたけど、OLみたいに毎朝フルグラを食べてるなんて全然知らなくて、まだまだ知らないことは沢山あるんだなぁって思った。


私と目が合ってもいつも通り顔を顰めて、じーっと見るといつも通り「見んなキモい」と言われる。

私がキスしてしまったこと、覚えてないんだ。だからこんなに普通なんだ。心底ホッとした。


心底ホッとして、私はオウくんと、うまく話せなくなった。



「とーうーこーちゃんっ」


共通科目の講義前。今までオウくんたちとは同じ授業だったけど、向こうから話しかけてきたことなんてなかったのに、遊馬くんはまるで前からずっと話しかけていたみたいに私の前に来る。


オウくんはまだ来てないみたい。ホッとした。


「……あ、遊馬くん。この前は突然泊まったりしてごめんなさい。ありがとう。鍋の片付けとか全部やってくれたんだよね?ごめんね、ありが」

「うん、んなことどーでもいいから」


あ、どーでもいいんだ。遊馬くんのにっこり笑う笑顔に、ちょっと背筋が凍る。