この人にメッセージ一つで呼ばれて、研究室に向かって、体を合わせるだけのこと。
その時間のためだけに私は生きてるし、この大学に来てる。
こんなこと、絶対透子には言えない。あの子の前では、私は社会人で年上の優しい彼氏がいる設定。
透子が見ている世界は綺麗すぎて、私なんかが汚しちゃいけない。
あんまり大きく声を出すと希にイライラされるから、必死に口を抑えながら快楽に酔う。その姿を眺めるのがこの人は好きらしく、いつも少しだけ、笑う。
その顔を見るだけで、私はたまらなく幸せになる。
「……早いね。もう濡れてんじゃん」
そういうこと、言わなくていいのに、いちいち言ってくる。
震える体で「早くちょうだい」と手を伸ばした時だった。
コンコン、と研究室の扉から聞こえるのはノックの音。私と希はお互い見つめ合う。希は優雅に服を全部着ているけど、私は半分裸だ。
「ちっ」
希は鬱陶しそうに舌打ちをして、私の腕を強引に引っ張った。何をされるのかと目を見開けていると、毛布を乱暴にかぶされて、いつも希が座っている大きな机の下に引きずり込まれる。
「え、ちょ、希…っ」
「一人でイクなよ」
ちゅう、唇に吸い付いて、あっさりと私から離れた希は、そのままあっけらかんと来客者を研究室に招いた。

