恐る、恐る、引き寄せられるように、体をちょっとだけ動かして、首を精一杯伸ばす。
ダメ、そんなことしちゃダメ。人の寝込みを襲うようなこと。
分かってるのに、震えてるくせに、泣きそうなくせに、この人を目の前にすると理性がなくなる。
私だって小学生の時からこの人のことを見てきたのに、後から出てくる女の人に取られていくのが、たまらなく悔しい。
触れるか、触れていないか、分からないくらいの感覚。まるで擦るだけ、私はオウくんの唇に、触れた。
心臓が壊れそう。バレたら幻滅される。こんな、自分が寝てる時にキスされたなんて知ったら、絶対嫌われる。
オウくんの唇が乾燥していたのか、自分の唇が乾燥していたのか、分からない。初めて触れたそこは、思っているより冷たくて、思っていた以上にドキドキした。
何もなかったことにするため、慌てて離れようとすると、オウくんがそっと私の手を握った。
信じられなくてしばらく固まっていると、彼の眠たそうな目がうっすら開いて、私を認識しているのかしていないのか分からないけれど、そのまま目を閉じる。
あ、と思う頃にはもう、彼が私の唇をはむ、と食べていた。
びっくりして、動けなくて、誰か助けてって思うのに、誰も起きないでって思う。
何度も、啄むように、口を開けては私の唇を食べて、離れる。その繰り返し。とっくの前に体の力なんて全部抜けていた私は、とろんと彼に見とれながら、どろどろに溶けていく。

