にべないオウジ



何、変なこと言ってんだろ。「別に友達の前でも言われれば料理するよ」と言うと、遊馬くんは可笑しそうに眉を下げて「そりゃそうだ」と答えた。

変な人。


鍋が出来上がって、小皿が用意されているテーブルに運ぼうとすると、オウくんが無言で私を払い除けて鍋を運んでくれた。

後をついて行って、鍋じきの上に置いたあとカーペットに座り込むオウくんの斜め前に、座る。

じぃっと見つめると、やっぱり目が合わない。あのスーパーのおばさん、何か勘違いしてるんじゃないの?


「わー、うまそー!」

「ほんと。透子色々ありがとね」

「キリちゃんは料理しねーの?」

「私はやらなきゃ死ぬってなったらやるけど、それ以外はやらないの」

「それ一生やらないじゃん」


プシューと缶チューハイの開く音がして、私達は各々持つ飲み物をぶつけ合った。「乾杯」という声と、缶が重なり合う音。

すごい。私今、お酒持って乾杯してる!


「あ、俺肉しか食べないから」

「は!?じゃあなんで鍋しようって言ったわけ?焼肉で良かったじゃん!」

「野菜は桜司が食べるから大丈夫。な、桜司?」

「んなこと一言も言ってないだろ。あっ遊馬てめ、そんな一気に肉取んな!」

「もう私絶対遊馬くんと鍋しない」

「肉ごときでそんなムキにならないでよー」

「そっくりそのまま返すよ!!」


お肉一つで騒ぐ姿を見ながら、お酒をちびちびのみ、私はクスクス笑う。お酒って甘くて美味しい。もっと苦いと思ってた。