遊馬くんの家は、紺色をベースにして、思っているより落ち着いていた。男の子の家って有り得ないくらい散らかっているイメージがあったから、それこそ意外。
勝手にキッチンを借りているわけだけど、遊馬くんは料理を全くしないらしい。いつも外食だそう。
それに一人で食べるのが苦手だから、いつも誰かを誘っちゃうんだって。寂しがり屋な人だなぁと思う。
遊馬くんが「手伝うよ」と言って鍋を用意してくれる。
家でご飯を食べないくせに、お鍋とかたこ焼き機とかホットプレートはあるんだね。
「いいよねー。女の子が料理してる背中って」
「そうなの?分かんないなぁ」
「ふは、透子ちゃんは分かんないだろうね。男のロマンだからねぇ」
「へー、そうなんだ。女の子が男の子の腕の筋見て騒ぐのと同じ感じ?」
「あはは!うん、そうそう。そんな感じ」
遊馬くんが楽しそうに笑ってくれると、なんだかホッとする。この人に落ち込む顔は似合わない。
遊馬くんって、不思議だ。強引で人の都合とかどうでも良さそうで適当な感じがするのに、今だってきっとキリちゃんたちの会話に入れない私を見て、話しかけてくれている。
「羨ましいなぁ。透子ちゃんが彼女になったら、いつでもこの背中見れるんだ」
誰にも聞こえないくらいの、私にだけ届くくらいの声。彼はゆるりと微笑む。

