青春の花は素顔に咲く

「こっち、こっちだよ白銀!」

 川から水しぶきがめちゃくちゃかかる。だけどそれどころじゃない。
 足場を教えて二人とも助けないと。

「黒野、助かる!」
「荷物、投げて。男の子の荷物! あたしが持つ」
「わかった!」

 白銀が荷物を投げてあたしが受け取る。

 そして白銀と男の子が川の上に上がる。

「はい、これ。サングラス、早く」
「ああ……」

(男の子がKAKERUを知らないことを祈る)

 まだ幼稚園ぐらいの子だし……知らないかも。

「大丈夫か?」
「うん、お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 男の子は水を飲んでいなかったらしく、顔色はそこまで悪そうに見えなかった。