青春の花は素顔に咲く



 キラキラと太陽があたしを照らす。
 当然のように黒い日傘をさしてあたしは歩く。
 日傘はいい。顔を隠してくれるから。

「あ、白銀。日曜なのに仕事じゃないんだね」
「まあ、そういう日も数か月に一回はある」
「全然ないじゃん」

 他人に求められる白銀。空いてる時間を埋めるあたし。
 まるで、真逆だなと苦笑いしてしまいそうになる。

「どこに行く?」
「ドリンクバーある方がいいだろ。黒野、のど乾きやすいだろ」
「……まあ、そうだけど」

(気づいてくれててたんだ、そんな細かいところ)

 ポポポと顔が温かくなるのがわかる。
 だめだ。好きだ。白銀が好きだ。

 歩幅を合わせてくれるとこも、歩道側を歩いてくれるとこも。

 好きだ。好きだ。

 全ての事がよく見えてしまうぐらい、好きだ。
 全然詳しく相手を知らないくせに、好きだ。

 脳内でどんどん好きか積み重なって、苦しい。

「疲れてるのか、顔色悪いぞ? 黒野」
「全然、大丈夫」

 好きだ……。どこまでも、好きだ。
 優しくしないで、と願うほどに好きだ。

 されればされるほど、もっと好きになって苦しくなるから。

 わがまますぎる自分が、さらに嫌いになってしまうから。

 だけどやっぱり。 


 ……好きだ。