青春の花は素顔に咲く


 のに。何でまだ傷がうずくのか。復帰りたいと思うのに、どうして。
 あの頃と今のあたしは違うのに。独りじゃない。美也子もいる。それに……白銀も。
 なのに、なんで、好きでもない人間たちを気にしてしまうのかな。7
 どうでもいい人に哂われても、いいじゃない。相手にする必要もないじゃない。

 そう、わかってるんだ。頭の中では、わかってるのに。

(誰からも馬鹿にされたくない、とか思ってしまうの)

 我ながら、無謀な願いだと思う。

 きっとそれは、自分に自信がないから。
 いつだって満たされない承認欲求が悲鳴を上げていて。

「あたしも、可愛く生まれたかった……」

 ないものねだりは意味がないって、それもわかってるけど。
 もしもあたしがかわいくて、お金持ちだったら。
 そんなことを意味もなく考えては泣きそうになるのだ。

「本当、馬鹿なあたし……」

 今まで蓋をしてきて、だましだましやってきたのに。白銀と出会ってから、思ってしまうんだ。もしあたしがかわいければ。こんな風に苦しい気持ちにならなくても、素直な態度で好きだよって言えたんじゃって。