青春の花は素顔に咲く


「お守りなんだ」

 その文字は、幼き日のあたしの字そのもので。

(こんな丸くて汚い特徴ある字他に見ないし、何より名前が書いてある。誰かがあたしの名前を語るメリットなんか一つもないし)

 つまりはだ。

(あたしは、小さなころ白銀と出会ってるの?)

 まったく覚えがないのだけど。

「うっ、うん、返すよ。今日はありがとうね。また明日」

(なんで? なんで?)

 これはどう言う事?

「ああ。ゆっくり休めよ」
「白銀こそ……明日までにいろいろ準備しておくから、今日は休んで」
「やること終わったら休む。気遣い助かる」
「べ、別にあんたのためじゃなく勉強できなきゃお金もらえないからだもん! じゃっ!」

 なんだかその場にいるとソワソワしてくるので、あたしは逃げるように家に駆けこんだ。
 絶対絶対あたし、キョドってたにちがいない。
 でもなんで、白銀はそのことについてあたしに直接言わないのかな。

 ……何か、訳でもあるのだろうか。

(気になるよぉ……)

 自室に帰ったらアルバムを探そう。
 そして、一生懸命記憶を探るんだ。