青春の花は素顔に咲く


「黒野の家、ついたぞ」
「ありがとう、またね」

 そう言って車から降りようとしたとき。
 何かが足元に落ちているのに気づく。

 当然、あたしはそれを拾うのだけど。

「なにこれ? メモ? ……え?」

 そこには。

(……ずっとおうえんしてるね くろの めい? え? あたし?)

「悪い、それ返してくれ」

 白銀は真顔でそう言った。多分あたしが文字を読んでないと思っているのだろう。

「ねぇ、これ……白銀の?」
「そうだ。大切な宝物なんだ」
「……え」