「そういうメイク!」
「もう、撮影現場行くぞ。来るか」
「行く」
本当は見なければいいのに、気になって仕方がなくて。
待合室で待って頭を冷やしたいのに、いろんな姿の白銀が見たいという本能の欲求に負けるあたしである。何て野性的になってしまってるんだ。あたしてこんな性格だっけ!?
ドキドキしながら白銀をチラチラ見ながら撮影現場に向かう。
「今日は何の撮影なの?」
「新曲の撮影」
「ああ、確か歌手もしてるんだよね」
「ドラマに使うんだ」
「へぇーすごい」
白銀って低めのいい声だから、歌もうまいんだろうなあ。なんて言うか粘り気のある色気のある声なんだよね。声優さんみたいな感じ。あたしの平凡な声とは大違い。
撮影現場につくと、あちらこちらに機材が置いてあった。舞台に招かれた白銀は、慣れた手つきで移動する。
「撮影行きますー」
そんな声がして、音楽が鳴り始めて。
「うわ……」

