(まさか小学校レベルで結構つまってるなんてね)

 予想外の学力レベルに頭を抱えるあたし。はあ。どうしようかなあ。
 本当にどうやって今の高校に入学したのか。
 うんまあ、私立だからどうにでもなるんだろうけど。はあ。
 暗い顔にならないようにあたしは気を付けながら準備中の白銀を見た。
 きらびやかな衣装に着替えてメイクをされてる白銀は、王子様度がさらに上がっていた。何て言うか生きた人形みたいな感じ。やばい。美しい。
芸術かよ。見惚れるわ。

「どうした、黒野。オレになんかついてるか」
「別に! 見とれてなんかないし!」
「? 何を当たり前の事を叫んでるんだ? わかってるが?」

(はっ、自爆したっ! 白銀が天然でよかった……!)

 ああ。やばい。やばい。あたし、白銀が好きなのかな。
 なんかいつも白銀を前にするとうまくふるまえない、おかしいよ……あたし。
 恋なんて知らないから、よくわかんないけど。
 本で読んだ恋愛感情はこんな感じだった気がする。

 気持ちに振り回されてうまく動けなくてドキドキして……。

「ああああああ」