「息が荒いぞ、黒野、大丈夫か?」
「だからすぐ顔を近づけるのはやめてえええ」
「熱、ないよな」
「ないっないから、大丈夫だから。スマホなってるよ!」
「あ。多分用事だ。行くぞ、黒野?」
「え? あたしも行くの?」
「あっちで勉強する時間があれば教えてもらいたいからな。ほら行くぞ」
「ちょ、えあ。手をつないで走るのはやめてええええ」

 あたしは白銀に強引に引っ張れる形で廊下から出ていった。
 そりゃ! 今は放課後だけどさあ!
 すっごい視線を浴びてたんだけど!?

「待ってよ白銀っ!」
「急ぐから」
「って、お姫様抱っこはやめてくれる!?」

 周りがポカンとしてるじゃん!

 何気に白銀、細い割に力あるね!? あたしビックリだよ!?
 しかも汗一つ書かずそのまま走るし! 本当にビックリだよ!?
 でもさ! 目立ちすぎなんだってば! 皆ざわつきまくってるし、先生すら注意できずに固まってるよ。少女漫画じゃないんだからさあ……?