青春の花は素顔に咲く


「…………」
「カケル? ……きゃっ」

 それは、不意打ちのキスだった。

 触れるだけの、優しいキスだった。

「ちょ、え、あ?」
「芽以。オレはお前が好きだ」
「……っ」
「好きだ。好きだ。大好きだ。そばに居れるように頑張るから。改めて、お前の隣を予約させてほしい」
「……カケル」
「まだ、ちゃんとしたキスをするのは早いとは思う、だから、今回はここまで」
「…………」
「指輪とか、そういうのはスキャンダルの元だから、何もできないけど。俺たちは心がつながってるだろう? だから……そういうのがないのは我慢してくれ」
「っ……うん! 大丈夫!」

 触れるだけのキスでも、嬉しくて、あたしは唇に指を添えた。
 まるで夢の中のような出来事だった。フワフワして、何処か落ち着かなく
て。なのに、温かな感触はまだほんのり残っていて。

 嬉しさから涙があふれた。ぽろぽろと大粒の涙が笑顔のあたしの瞳からこぼ
れていく。幸せで、感激で、もう、表現する言葉が思い当たらないぐらい
の有頂天だった。

 そんなあたしをカケルは黙って抱きしめて、撫でてくれた。

 一分足らずのそんな時間。長くいれば噂になる。でも。
 いつかは、堂々と噂になれるんだ。

 ……そのために、あたし達は。