青春の花は素顔に咲く



「これとか白銀君向きの指南書じゃない? 芽以ちゃん」
「お、さすがですね。生徒会長。すぐ理解しちゃうんですね、そういうの」
「まあ、ボクはそういうのが得意だからね」
「素敵です!」
「……芽以ちゃんのほうが素敵だよ」
「冗談はいらないです!」
「あのねえ、本音なんだけど……」
「お世辞ありがとうございますっ」
「……はあ」

(?)

 生徒会長は優しいなあ。あたしにお世辞を言ってくれるなんて。
 だからみんなの人望が厚いんだろうなあ。気遣い屋だから。うん、さすが。
 ニコニコしていると、生徒会長はあたしに顔を近づけてくる。

「どうしたんです?」
「これでも駄目かぁ」
「? 何がです?」
「いやあ、ボクは眼中にないみたいだなあって」
「? 視界には入ってますけど」
「うん、ダメだねこりゃ」
「……?」
「ほら、レジに行くよ。これをわかりやすく翻訳するんでしょ」
「あ、はいそうですそうです。行きます」

 あたし達は選抜した参考書を持ってレジに向かう。
 参考書代は学校が出してくれるのですごく助かる。

「そういえばここらへんでドラマの撮影してるんだって?」
「誰がです?」
「例の彼」

(白銀ね)

「そうなんですか?」
「行ってみる? 近いよ」

「はいっ! 見て見たいです!」

 あたし達は買った参考書をもって撮影をしているという河原に向かうことにしたのだった。