青春の花は素顔に咲く

「そんな怖い顔するな。無理強いはしないから」
「!」
「本当は本当に困ってるが……他人であるお前の負担にはなりたくないしな」

 あまりに素直に引き下がる白銀にあたしは戸惑いを隠せない。 
 なんなの? 進級がかかってるのに、そんなにすんなり引いていいの?

「本来はオレが一人で片づける問題に、巻き込もうとして済まない」
「……は、はあ」
「だけど、頼むからオレの秘密は隠してほしい」
「……い、言うわけないじゃん」
「助かる」

 白銀はそう言って……王子様の顔で微笑んだ。

「っ……!」

 体中が熱くなるのがわかる。ナニコレ、心臓がバクバクして壊れそうだよ。なんだか涙目になりかけてあたしは白銀から目をそらす。