青春の花は素顔に咲く


「白銀君はね、訳があってこの学校に変装して通っているんだよ」
 理事長がそう付け足すように言った。
「だけど、アイドルの仕事が忙しくてね。勉強がおろそかで進級もすでに危ういんだ……」
「は、はあ」

 頭がパンクしそうだ。白銀が王子様でアイドルで……ええ?

「黒野、顔が真っ赤だぞ」
「触んないで! 悪いうわさだって聞いてるんだから」
「悪い、噂……?」
「おばあさんにカツアゲしたって」
「ああ……あの道案内したら小遣い渡そうとしてきたおばあさんか?」
「いいように嘘でっち上げないで! あたしはヤンキーは嫌いなの」

(だって……あいつらを思い出すから)

 思い出すだけで吐き気がする、嫌な思い出たち。もう、忘れたいのに何度でも夢に出てうなされる。白銀みたいにリーゼントやサングラスではなかったけど、あいつらだってヤンキーだった。だから白銀だって……。