青春の花は素顔に咲く

「なあ。黒野がお前のことめっちゃ見てない?」
「やべ、がり勉ブスに見つめられた―」
(違う、黒板を見上げようとしただけ)
「惚れられたら困るし、優しくしないようにしようぜー」
「賛成!」
「ま、優しくするのはちゃんと普通レベルにかわいい子だけに限るよなあ」
「だよなー。好きになられたら最悪だし」
「あはっははは」

(……っ、泣くな、あたし、泣くな……っ)

 泣いたらもっと馬鹿にされて、教室に行きにくくなる。
 中学生になったばかりなんだ。ここで負けてたまるか。
 逃げちゃだめだ。絶対に、逃げちゃだめだ。

 そんなこと絶対「あたし」には許されないんだから……!

 ……そんなこと、わかってたのに。あたしは、気が付けば学校へ行けなくなっていた。

 毎朝お腹が痛くなって、家から出られなくて。
 鏡を見れば、がり勉ブスという声が頭の中に響いて。

「ごめんなさい、ごめんなさい。可愛くなくてごめんなさい……」

 そう誰に言うわけでもなく謝った。もう、一週間目になる。このまま
じゃ、内申に響いてしまうのに。そう思ったとき。お母さんの化粧台にあるモノたちが見えて。同時に、壁に風邪ってあるおばあちゃんがあたしに
作ってくれたフリフリのワンピースが見えた。