…………そんなひどいことを考えていた罰があったのでしょうか。
放課後に近づくにつれて、急激に腹痛に襲われた私は、掃除を早々に切り上げて、あまり人の来ない3階奥の女子トイレに閉じこもる。
あぁ、神様仏様。
私が悪うございました。
好きな人の恋が上手くいかなきゃいいなんて、滅多なことを思ったのが私の罪でございます。
それでも私は、甲斐谷の相談にはちゃんと親身に応えたし、略奪愛に走ろうなんてそんな気持ちもめっきりありません。
この恋は報われないと分かっているから、こうして毎日次の恋の訪れを真摯に願う健気な女子高生ではありませんか。
だからどうか、これ以上お腹を痛くするのはおやめになって………イテテ。
便座に座ってる時のポーズのせいか。
それとも、悪どい自分に対する後ろめたさがあったせいか。
腹痛にもがきながら神に懺悔する私は、きっと今、世の中で一番不憫だ。
だからほら、このタイミングで。
「ねぇ、ハルミ。本当にあの、甲斐谷って人と付き合うの?」
「あー、甲斐谷くん?」
滅多に会うことのない人と、遭遇してしまうのだ。



