初恋は報われないというけれど、

「それと、ハルミちゃんが実は俺をキープくらいにしか思ってなくて、マユはそれに対して怒ったんだってアツコが言ってた。

俺のために怒ってくれる大切な人を失くしてもいいの?嫌ならビビってないでさっさと話ってこい、って言われたよ」


そうだよね?

そっちの方が大事なことだよね?

腹痛で神様仏様なんてどうだっていいのよ!





………っていうか、私の気持ちについては黙っていてくれたのね。

たぶん、私に対してもビビってないでさっさと話してこい、ってことなんだろうけど……。



なんか、アツコの手のひらの上で見事に転がされてる感じがする……!





「俺さ………

ハルミちゃんが俺をキープにしか思ってなかったってことの悲しさより、俺のためにマユが怒ってくれてたってことの方が嬉しかったんだ。

ハルミちゃんのことが本当に好きだったら変だよな。

それで俺、気づいたんだ。


俺が好きなのはハルミちゃんじゃなくてマユだったんだって。


マユに嫌われたんじゃないかって怖くて、真実を確かめもできなかった俺を、マユは呆れてるかもしれないけど、やっぱり俺、マユとまた前みたいに………」


「甲斐谷」


甲斐谷の声を遮って、私も心の中でえいっと覚悟を決める。


呆れられるのは私だって同じで。



甲斐谷に嫌われたんだって。

この気持ちは報われないんだって。



甲斐谷に、自分の想いを伝えることを怖がって逃げてた。



大切な人を失くしたくないのは、私も一緒なのに。