初恋は報われないというけれど、

「それじゃあ、昼休み、早々に教室から出て行ったのは……」


「マユに嫌われてるって思ってたから……。怖かったんだ。最初からマユは、俺のこと嫌ってたんじゃないかって……」

「そんなわけないじゃん!!

私は甲斐谷のことが………っ」


言いかけて、口をつぐむ。

喉まででかかった二文字を、私はごくんと飲み込んだ。


言わない。

言えない。


言ったって答えはわかってるもん。


報われないことがわかってるのに、言えるわけない。



傷つくのがわかってて伝えるなんて、私には怖くてできないよ。





「……………アツコにビビってないでさっさと話してこいって言われたんだ。

だから今、ちゃんと伝えようと思って」




すぅっと甲斐谷の深呼吸する音が俯く私の耳まで届く。








「俺、気づいたんだ」