初恋は報われないというけれど、

＊





憂鬱でも時間は過ぎるし、夜がくれば朝も来る。


誕生日を迎えたにも関わらず、朝からひどく憂鬱な私は重い足取りで学校へと向かった。



教室には何人か欠席の人がいて、アツコもその一人。



大会で休めるなんていいな、なんて思ったら罰当たりなんでしょうか。


帰宅部の私も、適当な名目で今日が休めれば良かったのにとすごくすごく思う。




だって、ほら。


「プリント回して」


私の前の席の人も大会の関係で休みだから、前の前の席の人が私にプリントを渡してくるわけじゃん？


それ、誰だと思う？


甲斐谷なんだよ？



気まずすぎて吐きそう。





「…………」

「…………」



目が合うこともなく、ただ回されてくるプリントに、寂しさを感じてしまうなんて、まだまだ未練がましい私です。




今日１日、こんな感じで何回もプリントを渡されたりするのだと思うと、うん、やっぱり今日は休むべきだった。


今からでも保健室に行って早退したいとその旨を打ち明けてしまおうか？



しばらく聞いていない甲斐谷の声や交わらない瞳に、こんなにも胸が苦しくなるのだから、これも立派な病気だと私は思うのです。



…………まぁ、それが通じるはずがないから、世の中には仮病という病名が存在するんだけどね。