初恋は報われないというけれど、

天使の友達がトイレから立ち去り、私と天使の二人きり。


キッと私を睨む天使は、もはや天使には見えなかった。



「何すんのよ………」

「甲斐谷のこと、振ってよ」

「何であんたにそんなこと言われなきゃ……」

「あなたと甲斐谷は不釣り合いだよ」



甲斐谷にはもっと素敵な人が似合ってる。


だって甲斐谷は、すごく素敵な人だから。





「マユ!!!」





甲斐谷が。

焦った顔の、困惑した顔の甲斐谷が。


トイレに入ってきて、私とハルミちゃんを交互に見る。



「甲斐谷くん………っぐす」

「ハルミちゃん……頬が赤くなって……」



甲斐谷の登場に、器用に涙を流す彼女は、やっぱり天使なんかじゃない。

道化師だ。