初恋は報われないというけれど、

「なに?甲斐谷くんのこと好きなの?」

「…………」

「当たっちゃった?」



綺麗な顔を歪ませて笑う天使を黙って睨む。


否定も肯定もできなかった。


どちらかを選択した瞬間、きっと全部が崩れてしまうから。





だけど、肯定してしまえばよかった。




「私はね、好きじゃないよ。

好きじゃないけど、付き合ってあげるの。

だって甲斐谷くんはそれが一番嬉しいわけだし、私にとっても都合がいいし」



肯定して、腹を括って、甲斐谷のこと諦めるのやめちゃえば、



「だから、残念だけどあなたは……」




パシンッ




「………っう」

「ちょっと!!!急に叩くなんて頭おかしいんじゃないの!!!私、甲斐谷くん呼んでくるから!!」




どんな状況でも堂々としていられる、そんな気がした。