青い空に、真っ白な雲、白い鳥…

色がはっきり見えた。

初めて見た空に感動で泣きそうになった。

「この色…」

独り言のようにポツリと言うと、彼が目を見開いた。

「分かってくれるんだ。僕ね、絵を描く時色にこだわってるんだ。」

彼は嬉しそうに説明をしてくれた。


それから、昼休みが終わるまで色んなことを話した。

お弁当を食べるのを忘れてしまったけど…。

好きな色とか出身中学とか趣味とか。

こんなに人と話したのは初めてってくらい。

「ねえ、君名前なんて言うの?」

名前知らんのかい。って言いたかったけど、声を飲んだ。

「折瀬律。」

「律…。いい名前だね。僕は日野結翔。」

「知ってる。」

「え?知ってるならよかった。」

「だってもう高校始まって3ヶ月も経ってるのよ!しってるよ!」

「あはは。そっか、ごめん。僕あんま他人に興味なくてさ。」

グサッ、少し胸にナイフが刺さった。