『優介、確実な利益だけを考えなさい』



俺の父親の口癖。


俺はその通りに生きてきた。

目先の欲望には囚われず、自分に確実な利益だけを考えた。


喧嘩をする。

そんなもの、限りなく不必要なものだった。


けれどREIGNにいる限り、必要とされるもの。必要最低限の回数で、動きで終わらせる。


つまらない人間に見えてもいい。

けれど、正攻法であれば、成功した者が1番でしょう?


自分に不必要であれば切る。

自分に不利益を被るものなど話にならない。



「ねえ、三國。彼は本当に必要な存在なの?」



どうせはぐらかされる。そんなの分かっている。

こんなことを聞くのが無駄だということも。

けれど聞きたくなるのは、まだ未熟な証拠だ。



「優介。より大きな利益を手に入れるためには、より大きなリスクを伴う。そうだろう?あいつはそういう存在なんだよ」



久遠藍人が帰ったあと、静まる部屋の中でそうゆったりと話した三國。



「まだ、時期じゃねえ、か。本当にあいつの考えてる事は分からねえな」



三國が分からないのなら、俺らに分かるはずがない。


三國と同い年の俺。

認めたくはないが、三國が俺より上であることは確実だった。