i -アイ-






榛人が死んだのだと実感が湧いた。


自分がどれほど悲しく、辛いのか気付いた。

葬式が終わってから、自分の無知さに心を病んだ。



小学生なのだから、当たり前だ。


そう言われても、あたしにはそうは思えなかった。


夜になると街をさまよった。


あたしが生きる意味を探した。


榛人に何か出来なかったのか、考えた。


強くなりたいと思った。


まりあちゃんを支えられるくらい強く。


街で人を助けては、虚しさに駆られ、荒れていった。


そんな自分が、どれだけ弱いかを感じ、心を病んだ。



ある日からまりあちゃんは家を空けることが多くなった。

忙しいのだと思った。



あたしも、もっと、強く。


そんなある日、いつも通り人助けをしている時、相手が刃物を取り出した。


避けながら、意識が朦朧とした。

避けきれない軌道でナイフが動き、死ぬのか、と冷静に思った。



「藍!!!!!」



利人さんが、助けてくれた。


あたしは熱があったらしい。



その日から、あたしは " i "と呼ばれるようになった。


中1で168cmあったあたしは、男だと思われていたらしく、通称だと勘違いされた。


あの場にいた人達は利人さんに潰され、駆けつけたのが利人さんだとは気付かれず、i の正体は利人さんしか知らない。