i -アイ-





暁さんの言葉に答え、ベッドサイドの椅子に座りタブレットで仕事をする利人さんが、冷蔵庫と俺らに目線を移す。


利人さんはほぼ泊まり込みで藍のそばに居る。


俺らが来ても、特に会話をすることはなく、各々に自由に時間を潰して藍が目覚めるのを待ってる。



テーブルに置いてある利人さんのものと思われるスマホが震える。



「もしもし」



利人さんはスマホを耳に当て、病室を出ていく。



「夢でも見てるのかな」


優介さんが呟く。



「こんだけ長く寝てるってことは、いい夢なんじゃない?」



「藍にとって、いい夢か」



また、俺たちは黙り込む。


藍にとっていい夢は、家族との時間なんじゃないかとそう全員思ったんだろう。



「自分の父親殺した人間と話すって、どれだけの精神削んだろうな」



鬼龍灯志。



「動機、まだ聞けてねえな」



何故、榛人さんが殺されなければならなかったのか。

そのことを、藍は知っているんだろうか。



「藍は、これからどうするんですかね」


「さあな」



三國さんが答える。



「でも、俺が、俺らができる限り支えていこうぜ」



半年、たった半年ほどだけど、俺たちは藍の生き様に惚れたんだと思う。