「今日の夜、亮さんと会うことになった」



「……俺らが、ですか」



「ああ。きっと亮さんは、名雲碧の目的と、藍の目的を知ってる。俺がこの間亮さんに連絡した時、『藍は仕事が早いな』って仰ってた」



藍人は、大人の世界で必死に何かを成し遂げようとしてる。



「気を引き締めろ。名雲碧と対等に戦える権力(ちから)を持ってるのは亮さんだ。藍がこれだけ大胆に行動出来ている後ろ盾は、俺らの親父と御庄の人間だと考えられる」



三國さんは、俺らとあまりつるまなくなった時間を、きっとこの事にあててたんだ。



「もうあいつに、あいつの事を何も知らねえなんて言わせねえよ」



ニッと儚く笑う三國さん。



「藍は命を張ってる。お前らは命張れるか」



命。


俺らからしたら、実感なんか湧かない。

けれど、藍人の話通りなら、亮さんや俺らの親父も危ないってこと。


守られてばかりはもう嫌だ。



「俺は強くなりたい。藍人に、御庄藍に守られてばかりは嫌です。」



俺が今言えるのはこのぐらいだ。



「命を張るってどういう事なのか、俺達にはまだ理解できないと思うけど、それでもあの子の背中の大きさは知ったからね。負けてらんない」