渋木の件を碧さんと一緒に鬼龍灯志に報告しに行けば、有栖川天も臣さんも居た。


サツに捕まって当分は出てこないこと。

保釈金を提供する先もないこと。

そして、渋木に薬を流していた人物は有栖川天が突き止めたということ。


話が終わり、部屋を出れば臣さんがあたしを見てニコッと笑う。


「良かったな、藍人」


「何がです」


「親父に殺されなくて」


始末するイコール鬼龍灯志は殺す、そこに繋がる。

けれど、そうではなく社会的に殺すという方法を用いたあたしが癇に触らなくて良かったな、ということか。


「ですね。有栖川さんが有益な情報を持ってきて下さらなかったら死んでましたね」


呆れたように臣さんに笑い、有栖川さんにペコッと頭を下げれば、有栖川さんは煙草に火をつけた。



碧さんが歩き出し、着いていこうとすれば



「礼を言う」



有栖川さんがそう一言。


あたしは振り返り、軽く一礼する。

今回ばかりは勘で動いた。


情報が少なかったが、渋木の人柄を見て全てを予想した。

それが的中したから良かったものの。


「君らしくないね」


車に乗れば碧さんに言われた。


「誰でも予習はできます。俺も成長すべき時なんですよ、きっと」


「俺は賭けが好きじゃないんだ」


つまり、心配してくれたわけか。