こいつか。



こいつなのか。



「幹城、大げさ」



「あ?怪我人が何言ってんだ。今に見てろ、アドレナリン治まったらぶっ倒れんぞ」


腰を支えた幹城に対して投げやりに言う藍。



「え、倒れるって」



蓮がつっこむ。



「……は?何お前言ってないのか」



「黙れよマジで」



誰に対してよりも雑な物言いをする藍。



「藍、お前、縫ってねえんだな」



怒りを押し殺す三國。



「……幹城殺す」


「いや、八つ当たりやめろよ。感謝しろよ」



ああ、腹が立つ。



「とりあえず、頭よこせ」



そう言って幹城が自分の肩に藍の頭を乗せる。



「嫌だ」



元に戻す藍。



「はあ?来る時そうしてたろ。……あ」



何かに気がついたように、声を出す幹城。



「っあーなんだ、その、あれだ。こいつの傷そんな深くなかったし応急処置して、一旦お前らんとこ送って、んで今病院行って縫う。医者も困ってたけど慣れてるらしくてな。まあ、なんだ?大丈夫だ」



何かを取り繕おうとする幹城に、藍は笑う。



「馬鹿だ」



「ああ!?てめえ、俺は出来るだけ敵を増やしたくねえんだよ。お前の方が馬鹿だろ」