i -アイ-





「パーティー、お前も来るの?」



司さんにそう聞かれたけど、今回は行かないと話した。

花火大会に誘われているからと。


普通ならパーティーを優先させる。


普通なら、ね。


REIGNの皆も、はあ?女選ぶのかよ。と言いつつ、あたしの様子を伺って深くは聞かなかった。



そう、今回はこっちが優先だ。



食べ物は俺が、飲み物は椎名さんが買ってきた。


それを食べながら花火を眺める。



「綺麗だね」


「うん、綺麗」


「わがままばかり言ってごめんね、藍人くん」


そう謝る椎名さんを見れば、少し俯く。



「あたし、藍人くんのこと最初はかっこいいなぁとしか思ってなかった」


花火の光が彼女の顔を照らして、頬にまつ毛の影を作る。


「それがこうやって関わっていくうちに、思った通り優しくて、それに強くて優秀で。尊敬出来るところが沢山あるなって」


椎名さんが、あたしの手に自分の手を重ねて、あたしを見上げる。


「好きなのは、嘘じゃないよ」


好きなのは、ね。


そこでタイミングよく、体が震え始める。


不安そうにあたしを見つめる椎名さん。


「椎名さん、"これ"、どういうものか教えてもらった?」


あたしは、大きめの紙コップに入ったコーラを指さして、必死に笑う。