i -アイ-





碧さんが、榛人のことを好きだったとしたら、なんで学校を辞めたんだ。


碧さんの父親が今の鬼龍組組長の右腕だったことは分かってる。

……黎鳳は、その筋の人間の入学を受け入れているんだろうか。

もしかしたら、それがバレて中退?


だとしても、仲がいいならその後交流があっても良さそうだけど、慎さんの口ぶりだと



「藍人くん?また考え事?」


「あ、ごめん」


「いや、逆に考え事邪魔してごめんね。でも急に会話途切れたから驚いて」


「そうだよね」



「あのさ、花火大会今週末だけど、大丈夫そう?」



ああ、一緒に行って欲しいって言われてたんだった。

確かその日はREIGNの皆は、またパーティーがあったはず。だから、大丈夫だと思う。



「大丈夫だよ」


椎名さんは嬉しそうに笑って、浴衣とか屋台はどこ行こうかとか悩んでいた。


そんな日々を過ごして、碧さんに呼ばれる日も時々あって。


REIGNの皆も特に問題もなく。


その日が来た。




___



ヒュー……ドンッ



花火が漆黒の空に輝く。


食べたいものを先に買って、人が少なそうなところに場所をとって並んで腰をかけ、花火を眺める。


椎名さんは、赤と白の牡丹の浴衣に、編み込みのアレンジがされたセット、赤の髪飾り。

学校よりも少し煌びやかなメイクをして、あたしを見て笑う。