i -アイ-





「よし、乾いた。……何?眠い?」



おっと気を抜いた。



「大丈夫です」



「そう?眠かったら先に寝室で寝ていてもいいよ。明日も学校だろう?」



「ありがとうございます。髪乾かしてくれて。先にベッドお借りしてます」



部屋に戻ったとしても他にやることもないし、変に動いて目をつけられるのも利益がない。


なら、碧さんの言う通りにしておいた方が今日はいいだろう。


寝室を探して、見つけた。


紺のキング。

でか。



書斎なんかもあったみたいだけど、寝室も本棚にずらりと本が並んでる。


鬼龍組若頭、か。


持っているオーラは確かに人を近づけない、近付いただけで嗚咽がしそうなほど居心地の悪いもの。

そんなオーラを纏わなければ、その立ち位置には行けない。


何を持ってその立ち位置にいたいと思うのか。


あたしと碧さんは、お互いにお互いを食えない奴だと判断した。


でも、だからこそ、そばに置いても直ぐに何かが起きるわけじゃないと察知した。


「あれ、眠っていなかったのか」


ベッドの上で胡座をかいて考え事をしていたあたしを見て、そう言った碧さん。


「考え事をしていました」



「どんな考え事だ」



「考えても、答えの出ないことです」