i -アイ-





まあ、どちらにせよ、敵は敵だ。


でも寄生して中から蝕むこともひとつの策だ。



「俺は俺の力を求める者の方へ移動するまでですよ」



REIGNだって、三國に無理やり入れられたようなもの。


的外れなことはいっていないよ。


「じゃあ」


店を出てすぐ、碧さんがあたしの顎を掴む。



「俺が君を欲しいと言ったら、こちらに来るの?」



顎のラインをなぞる碧さん。



あたしはふっと笑って



「本当に欲しければ、ですけどね。今碧さんは別に俺が欲しいわけじゃないでしょうし、そちらには行きませんよ。俺はやるならやりがいのある仕事を選びたいので。REIGNから俺を排除したいだけなら、俺は動きません」



碧さんの手に、自分の手を重ねて、碧さんの手を下ろさせる。



「 i という人物がどういう人間かは噂では聞いていたけど、本当に掴みどころのない男だね」


「あはは、それ、いい噂じゃないですね? i は元々どこにも属さない存在ですから。」



「そうかな。どこかに信念がないと、ここまで大きい存在には成り上がって来ないと思うけどね。」



碧さんは、信念があった。そういうこと?


その信念が知りたいな。



あたしは、榛人について知りたい。

それが信念。