i -アイ-





「それもだし、佐伯くんや桜庭くんのことなんかもね」



相手を引き込むために、ひとつの嘘をバラして、もう一方の嘘はバラさない。

まだ、あたしを試すようなこと、してるじゃないか。


まあいい。


「怒ってなんかいませんよ。碧さんはとことこん優しいなと思っていたところです」


送り込んだのが、幹城と海崎。

もっと残虐な人間を送り込んできても良かったはずなのに。



「そうか、なら良かった。君は何故、REIGNに居るの?」



その質問にもあたしは笑う。



「それを聞いたらつまらないじゃないですか」



温度のない目であたしを見る碧さんは、ふわっと笑って



「無粋な質問だったかな。じゃあ、質問を変えるよ。



俺に会っていること、REIGNのメンバーは知っているの?」



あたしの言葉を信じるか信じないかは分からないけど。


「知りませんよ?REIGNの皆は碧さんのように俺を監視していませんから」


食事を終えて手を合わせる。


「ご馳走様でした」


碧さんが支払いを終え、席を立つ。


「このままだと、君は俺の敵になるわけだけど」



「今は、そうですね」



「その言い方は、まるでこれから先はどうなるか分からないとも受け取れるけど?」