一貫生が多いためか、親は大半が来ないらしい。
うちも当たり前だけど来ない。
そして、新入生代表挨拶。
「久遠藍人」
そう、あたし。
これが2つ目の条件。
首席で合格。
壇上に立つと、女の子がザワつく。
壇上で話すのは久しぶりだな。
話すイメージは榛人。
まりあちゃんだと女性らしくなっちゃうし、利人さんだとユーモアがない。
ごめん、利人さん。
ヘイトではないよ。
柔らかく、優美に。
けれど男らしく、凛々しく。
皆、あたしの話を聞いてね。
そんな気持ちで話して、礼をする。
たくさんの拍手。
うん、まあまあかな。
壇上を下りると、先生方に、
「良かったよ」
とお褒めの言葉をもらう。
それに一つ一つ丁寧に応え、席に着く。
「お前、外部生だけど、堂々としてんな」
「あれ?起きててくれたの?」
滝谷は、新入生代表挨拶の前まで爆睡していた。あたしの肩を借りて。
「ん。お前の声が、俺の話を聞けって感じだったから目が覚めた」
「あはは、バレた?滝谷が俺の肩勝手に使ってたから腹立ってさ」
「え、嘘、がち?」
「冗談だよ」
滝谷は自由な感じだけど、裏表が無さそうだ。

